野球について
野球は国民的スポーツとして人気のあるスポーツで、
投げる、打つと言った特有のフォームが特徴的なスポーツです。
頭より手を高く挙げる「オーバーヘッドスポーツ」のひとつです。
特に投球動作は肩や肘に大きな負担をかけるため、育成年代での肩関節、肘関節の障害が多くなっているのが現状です。
近年では球数制限や大きな大会での過密日程について多く議論されています。
肩関節や肘関節の障害は「身体の他の部分に問題があることで結果として生じる」ことも選手や指導者、保護者の方々も知っておかなければなりません。
野球に特有な外傷・障害
・野球肩(リトルリーガーズショルダー)
・野球肘(肘内側側副靭帯損傷/肘離断性骨軟骨炎)
・腱板損傷
・有鈎骨骨折
野球肩(リトルリーガーズショルダー)
成長期の野球選手に多いスポーツ障害のひとつであり、繰り返す投球動作だけではなく、遠投や全力投球と言った「特定の一球」で生じることもあると言われています。
成長期の腕の骨には「骨端線(こったんせん)」という骨の成熟が未熟な部分があります。
リトルリーガーズショルダーはその骨端線が拡大してしまい、重症になると骨自体が下方にすべってしまいます。
肩の外側から後ろの部分にかけての痛みが主な症状であり、1~2ヶ月の投球禁止期間を設けることで痛みはおさまることが多いと言われています。
予防として有効なことは①正しいフォーム②適度な練習時間と休息③ストレッチの習慣を身につけることが非常に重要となってきます。
故に選手自身の予防意識だけではなく、指導者と保護者も障害に関する理解を深めることが大切です。
肘内側側副靭帯損傷
肘離断性骨軟骨炎
腱板損傷
腱板とは肩を支えるインナーマッスルのことで、棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)、小円筋(しょうえんきん)の4つの筋肉で構成されます。
これら4つの筋肉の腱の部分が切れてしまうことで、
痛みが生じて、肩を持ち上げにくくなってしまうのが腱板損傷です。
損傷があったとしても、症状がほとんどない場合もあり、
50歳代以上では半数の方が腱板損傷を有していると言われています。
若年者も損傷することがあり、野球やバレーボールなどのオーバーヘッドスポーツで特に起こりやすいと言われています。
特に野球においては投球動作を繰り返す中でボールをリリース(ボールが手から放たれたとき)した後のからのフォロースルー(腕を振り下ろす動作)の時期で筋肉が引き伸ばされることで生じると言われています。
コッキングと呼ばれる投げる直前の動作の最中で肩の奥の方に痛みを感じることが多いです。
日常生活においては、強い肩の痛み、肩を持ち上げにくい、夜寝ている時に痛みで目が覚めてしまう(夜間痛)ことが挙げられます。
治療は中高年の損傷であれば基本的には薬物療法、運動療法を中心とした『保存療法』が選択されます。
若年者における外傷やスポーツによる損傷であれば『手術療法』も検討されます。
レントゲンでは腱の損傷はわかりにくいので、超音波やMRIでの画像診断が必要となります。
予防としては①同じ動作での練習を過剰に行わない(例:投げ込み)②肩甲骨・肋骨・背骨を合わせた肩甲帯の可動域の改善が有効です。
できることからひとつずつ行っていくことが大切です。
有鈎骨骨折