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膝関節前十字靱帯損傷

前十字靭帯損傷とは?

 
前十字靭帯(ACL: anterior cruciate ligament ) は膝の関節の中にある靭帯で、膝の安定性に関与する非常に重要な靭帯です。
サッカーにおいてはジャンプ切り返し、方向転換で起こりやすい傷害です。
 
特に着地したとき、走っていて急な方向転換で膝が内側に捻ってしまうことで損傷または断裂してしまうことが多いです。
 
前十字靭帯損傷は半月板損傷を合併しやすく、
合併率は40~60%と言われ、またすねの骨や太ももの骨の骨挫傷の合併も非常に多いです。
 
損傷したときはブチッといった音がして、膝が腫れるのが特徴です。
注射で膝にたまった水を抜くと血が混じっていることが確認できます。この場合前十字靭帯の損傷が高い確率で疑われます。
 
日常生活のなかでgiving wayと呼ばれる膝くずれを繰り返すことも特徴で、放置した場合では関節の軟骨が
傷つき、変形性膝関節症に発展する確率が高いです。
 
画像診断においてX線像(レントゲン)の多くは正常です。場合によって骨折や骨挫傷が写り出されることもあります。
確定診断をするにはMRIが有用であり、靭帯の断裂像や不明瞭像が描出されます。
MRIでは半月板損傷や大腿骨、脛骨の骨挫傷も診断することが可能です。
 
あまりスポーツ活動を望まない中高年者や、骨の成熟が未熟な小中学生は装具装着や筋力増強を中心とした
保存療法で経過をみることが多いです。
一方, スポーツ活動を望む若い患者や、日常的に膝くずれを繰り返す患者の場合は手術療法を選択します。
 
手術では自分の筋肉の腱が用いて、損傷した前十字靭帯を再建します。
手術は関節鏡で行われるため、非常に小さな傷で済みます。
 
再建靭帯には、ももの前の筋肉の腱とお皿の骨を使用する場合と、ももの後ろの筋肉の腱を使用する場合に分けられるのが一般的です
 
それぞれにメリット、デメリットがあるので競技に合わせた手術が重要となってきます。
 
また半月板損傷に対する手術も併せて行われるため、その方法によってリハビリテーションの進め方も違いがあります。
 
リハビリテーションでは再建靭帯に過度の負荷がかからないように注意しながら、可動域改善と筋力増強訓練を行っていきます。
 
また、再断裂が非常に多いことも事実なので、安全な着地動作やスポーツ動作の獲得が非常に重要となってきます
 
スポーツ復帰までは手術後6ヵ月~1年と非常に時間がかかるため、出来る限り予防に努めていかなければなりません

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